初めての補助金

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事業計画書に書くこと

小規模事業者持続化補助金では事業計画書としてフォーマットに従い「経営計画書兼補助事業計画書」を作成する必要があります。「経営計画書兼補助事業計画書」は応募者の概要・経営計画・補助事業計画の3項目からなっており、それぞれの部分に必要事項を記入していく必要があります。なお、審査員は「経営計画書兼補助事業計画書」の記載内容が補助金の目的に合致しているか、各審査項目から見て妥当であるかどうかで評価していきますので、事業計画書を書く前にまず、目的と審査項目を把握しておきましょう。

なお、各審査員は審査期間(約1週間程度)で、補助金よって違いますが、40件〜100件の申請書類の審査をしなければなりません。審査員によっては、専門家として自分の仕事をもっているので、審査にあまり時間をかけることができない場合もあります。短い文章で簡潔に書くなど、書き方には工夫が必要だと考えます。

■応募者の概要

記述するのは代表者氏名など基本的な項目のみで、多くはチェックボックスにチェックをいれていくだけですので、フォーマットに従い記入していきましょう。なお、創業者でもすでに営業を開始していることが条件となりましたので、設立して本当に間もない(設立して0ヶ月)のでなければ、「直近1期(1年)の売上高(円)」の項目では、できるだけ売上金額を記入したほうが良いと考えます。

■経営計画

フォーマットにはは「1.企業概要 」「2.顧客ニーズと市場の動向 」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」「4.経営方針・目標と今後のプラン 」の4つについて記入欄があり、それぞれについて審査項目との関連性を意識しながら記入していく必要があります。

1. 企業概要

<主な記載内容>
概要・沿革 設立年、基本理念、代表の経歴、後継者がいればその方の経歴について記載します。
基本情報 営業時間、人員体制、店舗立地などについて記載します。
商品構成 利益構成 売上、商品(サービス)について記載します。 商工会議所の様式記載例では、売上総額の大きい商品と利益総額の大きい商品を図表にしています。
<審査項目の関連性について>
主に「基礎審査③補助事業を遂行するために必要な能力を有すること」を意識しながら内容を具体化していくと良いのではないかと考えます。

2. 顧客ニーズと市場の動向

<主な記載内容>
顧客ニーズ :顧客(消費者・取引先)が求めている商品・サービスは何かを記載します。
市場の動向 :競合他社の存在や顧客の増減など、これからの市場環境の見通しを記載します。様々な統計データをつかって説明をしていくと具体性がでてきます。一般的な市場 調査のデータについては、地域経済分析システム(RESAS)https://resas.go.jp/ を利用すると便利だと言われています。
<審査項目の関連性について>
主に「書面審査①自社の経営状況分析の妥当性 ○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。」「書面審査②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。 ○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。」を意識しながら内容を具体化していくと良いのではないかと考えます。

3. 自社や自社の提供する商品・サービスの強み

<主な記載内容>
自社の強み :商品・サービスが他社に比べて優れている点を記載します。
顧客の評価 :顧客に評価されている点を記載します。 お客様の声、お客様アンケートの結果、新聞や雑誌記事で取り上げられたことなどがあれば記載します。
<審査項目との関連性>
主に「基礎審査④小規模事業者が主体的に活動し、その技術やノウハウ等を基にした取組であること 」「書面審査①自社の経営状況分析の妥当性 ○自社の経営状況を適切に把握し、自社の製品・サービスや自社の強みも適切に把握しているか。」を意識しながら内容を具体化していくと良いのではないかと考えます。

4. 経営方針・目標と今後のプラン

<主な記載事項>
経営方針 :上記の1~3を踏まえた、これからの経営方針を記載します。 また、顧客の評価や具体的な数字の目標やそのほかお客様や取引先から「こういう会社だと思われたい」のような目標を記載します。
<審査項目との関連性>
主に「書面審査②経営方針・目標と今後のプランの適切性 ○経営方針・目標と今後のプランは、自社の強みを踏まえているか。 ○経営方針・目標と今後のプランは、対象とする市場(商圏)の特性を踏まえているか。」を意識しながら内容を具体化していくと良いのではないかと考えます。

■補助事業計画

主に「書面審査③補助事業計画の有効性 ○補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。○販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために 必要かつ有効なものか。○補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。○補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。」を意識しながら内容を具体化していき、その後他の審査項目でも加点できるよう内容を足してきましょう。

補助事業の内容

1.補助事業で行う事業名【必須記入】(30 文字以内で記入すること)
採択の際ここで記載した事業名が掲載されます。また審査委員は事業名を見てこの後の記載内容についてイメージしているものと思われます。
2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容【必須記入】(販路開拓等の取組内容を記入すること)
今回どのような取り組みをしようとしているのか事業内容を下記の項目を意識しながら詳しく記載していきます。
  • 自社の強みやこだわりを活用したものであり、顧客のニーズを満たすものであること
  • 創意工夫した点・特徴など
  • 誰が、どのような方法で事業を進めていくのか、事業の具体的な進め方について
  • これまでの自社の取り組みと違う部分や競合他社の取り組みとの違いについて
3.業務効率化(生産性向上)の取組内容【任意記入】
公募要領 P.7に該当する取組を行う場合は本欄に記入します。特になければ本欄は空欄のままご提出ください。
業務効率化によって、従業員の労働環境を改善するなどの取組があれば記入します。
4.補助事業の効果【必須記入】
販路開拓等の取組や業務効率化の取組を通じて、どのように生産性向上につながるのかを必ず説明してください。
今回の事業を実施することにより、顧客数・売上・利益率などがどのように増加するかの見込みを記入します。また、補助金は持続的発展を図ることを目的としていますので、今回の取り組みが当社の持続的発展につながることを記入します。なお、補助金の目的に「地域の雇用や産業を支える小規模事業者」という記述がありますので、今回の取り組みが、取引先や地域にどのような効果(波及効果)をもたらすかについても記入しておくべきだと考えます。

Con(共に)+Sult(座る)+Ant(者)・中小企業診断士・ビジネスコーチ

1968年生。同志社大学商学部卒。得意分野は売上向上策と人を育てる技術(相手を買う気・やる気にさせる仕掛けづくり)。 将来起業することを目指し大手流通業に就職。店長として店舗レイアウトや店内販促物の作成、コーチングを使ったスタッフ教育で評価を得ていた。 ビジネスコーチ・流通系コンサルタントとして独立。小売店や飲食店の売上向上策について支援を行う。一方公的支援機関にて販路開拓や創業・事業承継の支援に携わる。なお、コンテンツには個人的な見解や意見が入っています。あくまで参考としてお読みください。